こんにちは、弁護士の小川です。
弊所のお客様には、スタートアップビジネスを考えられている方も多く、私自身の知識の整理もかねて、今回の記事をきっかけに皆さんにスタートアップビジネスについて知ってもらえればと思っています。
1 スタートアップとは
最近、「スタートアップ企業」や「ベンチャー企業」という単語を耳にすることが多くなってきました。
近年の起業業界は、変化が目まぐるしいため、基本的な知識を持っていることが、起業家としての最低限のスタートラインとも言われています。そこで、今回は総論ということで、スタートアップビジネスの簡単な説明から入りたいと思います。
(1) 定義
「スタートアップ」の定義は様々ですが、共通点をまとめると、「新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長と会社の売却等を狙う事で一獲千金を狙う人々の集合体」です。
今まで存在しなかったものやサービスを通じて、市場のニーズをつかみ、急激な拡大によるリターンを得るのがスタートアップビジネスのモデルケースとなります。
世界的に有名なスタートアップ企業は、GoogleやFacebookになります。
(2)ビジネスモデル
スタートアップビジネスには、最初からしっかりとしたビジネスモデルがある事はほとんどないことが多いです。スタートアップビジネスにとっての最初の仕事はビジネスモデルを見つける事に他なりません。
創業者たちのアイデアから、当たるかもしれないものを採用・実行し、市場や投資家の反応を見ながら、アップグレードや方向転換を行い、最適なビジネスモデルを模索します。
ビジネスは、法規制等のルール内で行わなければなりませんので、ビジネスモデルを模索する段階から弁護士とともにルールの確認をすることが望ましいです。
現在では、AI技術を用いたスタートアップ企業などは、構想段階から弁護士とともに検討しています。
(3)ベンチャー企業との違い
日本では、「スタートアップ企業」と「ベンチャー企業」を同じように捉えられることが多いです。しかし、この2つは厳密には違うものになります。
「ベンチャー企業」は、市場においてある程度受け入れられると確信が得られた事業を、既存のビジネスモデルをベースに展開し、安定した収益と長期成長を目指します。
長期的な成長を目標にバランスの取れた組織とスタッフの成長や無理のない社内プロセスを築いていこうとします。
「スタートアップ企業」は、新しいビジネスモデルを展開し、イノベーションを通じて、人々の生活や社会を変えるための事業を行います。
その組織は、創業者含め即戦力になる人間で構成されており、ビジネスモデルを模索しながら新しいビジネスモデルを開発し、急激な成長を目指します。
(4)収益モデル
ビジネスモデルが確定していないスタートアップ企業は、日々の収益の目処がたたないことが多いです。
多くの場合、しばらくのあいだ日銭が稼げないため、立ち上げ時に外部の投資家から当座の資金を調達しながら、ビジネスモデルを模索することになります。
その後、方向性が定まった時点で2度目、3度目の資金調達を繰り返し、上場やM&Aを目指します。投資家が投資を無償で引き受けることはありません。
対価として、株式などを要求してくることが多いです。投資の対価として会社を乗っ取られないためにも、投資家に渡す株式の配分や投資契約の条件等に対して、専門家のチェックを受けることが必要です。
スタートアップビジネスは、最終的に上場、M&A等の方法によって、大きなリターンを狙うことが多いため、それまで売り上げがかなり少ないケースも少なくありません。
上場やM&Aを目指す場合には、企業の組織体制がしっかりしていることが重要視されますので、初期の段階から企業の組織体制に違法性がないかを丁寧に確認していくことが非常に大切になってきます。
2 最後に
これからスタートアップビジネスを始めようとしている方、起業したものの法務的な面で不安が残る経営者の方、ご不安な点がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。
弊所は様々な業種の顧問弁護士を務めておりますので、法務的な面のみならず、ご自身のビジネスの種類、状況等から考えられる最善のご提案をさせていただきます。