こんにちは、弁護士の小川です。
今回も、スタートアップビジネスについての記事を書いていきます。
今回は、前回の総論に引き続き、スタートアップ企業の成長ステージの概略について書いていきます。
各ステージの詳しい説明、経営者の方が気を付けるべき法務的観点は、これから順次書いていきますので、こちらもあわせてご覧ください。
1 スタートアップの成長ステージ
一般的にスタートアップ企業の成長ステージを4段階に区分します。
簡単にまとめると、以下のようになります。
(1) シード期
「シード期」とは、会社を設立する前などの実際に事業を始める準備段階のことをいいます。
まさに、ビジネスの種をまく段階になります。
この段階では、事業・ビジネスモデル(自社の製品やサービス)の構想や事業計画を作り上げていきます。
製品やサービスは、この段階ではまだプロトタイプになります。
会社設立前のため、売上がなく、製品やサービスの提供を開始するまでは赤字が続きます。
事業・ビジネスモデルが法律に反しないか、創業株主間での取り決めをどうするか等、意外にも法律面でのチェックが必要な段階です。
(2) アーリー期
「アーリー期」とは、創業して間もない段階で、事業を立ち上げてから、会社が軌道に乗るまでの段階です。
シード期で作り上げた事業・ビジネスモデルのアップグレードを繰り返し、実際に事業を立ち上げます。
事業の立ち上げに際し、新製品の開発や、既存製品のリニューアル、販売促進等の運転・設備資金が必要となる場面が多く出てくる時期でもあります。
必要に応じて銀行や投資家などに融資や出資を依頼することになりますので、投資契約書等のリーガルチェックが必要になります。
(3) ミドル期
「ミドル期」とは、事業の安定化に伴い、今後の成長を見据えて事業拡大を目指していく段階です。
商品・サービスが認知され始め、利益も黒字へと改善していき、事業はアーリー期に比べて安定します。業種やビジネスモデルによっては、急成長する企業も現れます。
この時期には、資金調達だけでなく、成長のための人材育成や雇用といった労務関係、設備投資に新商品の開発等に関するビジネスに必要な契約書など本格的に会社組織の整備が必要になる段階でもあります。
(4) レーター期
「レーター期」とは、事業が発展・成熟化して、事業規模の拡大スピードが低下してくる段階です。
今までの努力が実を結び、事業が安定化します。しかし、事業が発展・成熟化してしまい、拡大スピードは低下してきます。
そして、取り残されないよう、事前に計画していた上場やM&Aを実行に移したり、さらなる成長を見据えた新規事業を検討したりする段階でもあります。
2 最後に
以上のとおり、各ステージの特徴は全く違い、これらに対する法務的な対応は各ステージごとに変わってきます。
上場を目指しているにもかかわらず、法務対応を間違えていた場合には、上場の基準を満たしていないとして、上場できない例も少なくありません。
ご自身の会社の現在の法務的な面で、今後の計画に支障をきたさないか等ご不安な点がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。
弊所は様々な業種の顧問弁護士を務めており、スタートアップ法務の知識を有する弁護士も在籍しておりますので、ビジネスの種類、成長ステージ等から考えられる最善のご提案をさせていただきます。