こんにちは、弁護士の小川です。
今回は、スタートアップビジネスのシード期の説明と、シード期に起こりやすい法律問題について取り上げたいと思います。
1 シード期
「シード期」とは、会社を設立する前などの実際に事業を始める準備段階のことをいいます。まさに、ビジネスの種をまく段階になります。
この段階では、事業・ビジネスモデルの構想や事業計画を作り上げていきます。会社設立前のため、売上がなく、製品やサービスの提供を開始するまでは赤字が続きます。下記のとおり、意外にも法律面でのチェックが多い段階です。
2 シード期に起こり得る法律問題
シード期に起こりやすい法律問題と簡単な解説を書いています。今後、記事の掲載に伴いリンクを貼っていきますので、興味がある法律問題をクリックしていただければ、詳細な記事を読むことができます。
① ビジネスモデルの適法性
スタートアップビジネスは、今までにない商品やサービスを提供することになります。ビジネスは法律というルールの範囲内で行うことが大前提となりますので、どのような法的リスクが潜んでいるかを理解することや、法的に問題のないビジネススキームを策定することがスタートアップビジネスでは最も重要になります。
② 創業株主間契約
スタートアップビジネスで最も発生する問題の1つとして、「辞める創業株主とのトラブル」です。このトラブルをケアするために、あらかじめ取り決めを決めておく起業家の方が増えています。
③ 会社設立時の資本政策
企業の資金調達には、大きく①借入等の間接金融と②株式等の直接金融があります。①については、借りたお金を返せば、借りた相手との関係は終了しますが、②は投資金額を返しても関係が終了するわけではありません。ビジネスを遂行するにあたり、どのように資本を集めるのが自社に有利なのかを考える必要があります。
④ 投資契約の条件設定
資本政策の中には投資家との間で投資契約を締結することも含まれますが、その契約内容は、起業家に対し様々な義務を課す内容となっています。自社に不利になっていないかを確認せずに投資契約を締結することはビジネスの失敗に直結しかねません。
⑤ 会社設立手続き
会社設立にあたって考えることは多岐にわたりますが、特に、会社の組織構成をどうするのかという点と資本金をいくらにするのかという点は、経営や税金との関係で最優先で検討することになります。
⑥ 利用規約等の必要書類の作成
サービス内容によっては、利用規約やプライバシーポリシーの作成が必要になります。これらの作成がない場合やこれらがビジネスの実態と乖離している場合は、想定していなかった契約上の規制を受け、ビジネスを思い通りに行えないこともあります。
⑦ 知的財産権の確保
スタートアップビジネスは、過去にないサービス等を作り出すことになるため、非常に市場価値の高いものになります。しかし、投資家や取引先との契約で、気づいたら相手に権利が移っており、自由にビジネスを行えなくなってしまった例も少なくありません。
⑧ 各種専門家の紹介
これは法律問題とは少し違いしますが、起業に伴い、税金の関係や登記等の書類提出など様々な手続きが必要になります。弊所は、税理士をはじめとした各種専門家と連携しており、ワンストップサービスを提供することができます。
3 最後に
以上のとおり、シード期は会社の立ち上げ準備段階にもかかわらず、考えるべき法律問題は多いです。
この時点で、法律的に問題がなくとも企業にとって不利な条件設定をしていると、その後の経営が苦しくなる場合もよく見られます。
また、この段階での法務面を軽視すると、後の株式上場やM&A時点で法務問題が発覚し、リターンを得ることができなくなることもあります。
ご自身の会社の法務的な面で今後の計画に支障をきたさないか等ご不安な点がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。
弊所は様々な業種の顧問弁護士を務めておりますので、ビジネスの種類、成長ステージ等から考えられる最善のご提案をさせていただきます。