顧問弁護士

顧問弁護士活用法 第2回~企業法務に対する誤解①~

1 はじめに

前回の記事では、企業法務も企業経営と同様にゴールから逆算して考えることが重要であると書きました。

しかし、経営者や法務担当者に企業法務に対する誤解があるため、これが徹底されていないのが現実です。

そこで、今回は、企業法務における誤解とその実態について解説します。

 

2 企業法務における誤解

企業法務において、以下の5つの誤解があると考えられます。

 

誤解① 裁判は証拠がなくても何とかなる

誤解② 裁判に勝てば自動的に債権が回収される

誤解③ 弁護士は問題が発生してから使うものだと思っている

誤解④ 法務は顧問弁護士に丸投げしておけばよい

誤解⑤ 企業不祥事が増えたのは悪い経営者が増えたから

 

この5つです。これらの誤解があるがゆえに、顧問弁護士をうまく活用した企業法務ができていないと思われます。

これらの誤解について、解説していきたいと思います。

 

3 1つ目の誤解 ~裁判は証拠がなくても何とかなる~

(1) 裁判では、証拠こそが全てである

相談される経営者や事業主の方の中には、裁判所は正義を実現する機関であると考え、証拠がなくとも、自身の言い分が真実であるから、契約書や議事録といった証拠を作成してなくてもなんとかならないかとおっしゃる方がいます。

問題が発生しても、最後は裁判所が自分の言い分を聞いてくれて自分に都合のよい判決を出してくれるのではないか、裁判所が真実を解明してくれて助けてくれるのではないか、という漠然とした期待感を持つ方が少なからずいらっしゃいます。

しかし、裁判所が、自ら指揮を執って正義を実現するということはありません。

裁判所は、立証責任を負う当事者が、その主張を根拠づける証拠を提出できたときに、その当事者を勝訴させ、証拠による立証ができなかった当事者を敗訴させる機関です。

裁判では証拠が全てなのです。証拠がなければ、いくら真実を主張したところで、裁判官は相手にしません。証拠作りをしない企業経営を行っておいて、いざ裁判となり、裁判に負けても、それは自業自得以外の何物でもありません。

だからこそ、普段の企業経営から、紛争になった場合を備えて準備をしようと考えなければならないのです。

特に、証拠の中でも契約書や領収書といった客観証拠を残すことが重要です。裁判では、証人よりも客観証拠の方が証拠としての価値が高く、勝訴するためには客観証拠を残しておくことが必須といえます。

経営者と法務担当者は、「自ら動いて裁判で勝利する」というゴールを設定して、証拠を残すよう行動しなければならないのです。

 

(2) 勝訴するためのポイントとは

裁判で勝訴するためには、当然、どうしたら勝訴になるのかを知ることが重要です。

裁判は裁判官主導の下、行われるため、裁判の勝ち負けは裁判官が判断します。どうしたら勝訴になるのかは、裁判官の考え方、つまり、裁判の判断構造を理解することが重要です。

裁判官は、どのような証拠があれば、どのような判断をするのか。それを押さえることが勝訴するためのポイントになります。

かの有名な任天堂の法務部が裁判で常に勝つのは、この勝訴のポイントを押さえ、経営陣にそのポイントを押さえた経営を行うように助言しているからにほかなりません。

経営者もこのポイントを押さえて経営することで、裁判になることを未然に防ぎ、万が一、裁判になったとしても勝利する体制を整えられ、強い企業経営を行うことができます。

 

4 さいごに

この記事を読まれて、「うちの会社はどうなのだろうか」「顧問弁護士の使い方について話を聞きたい」等がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。

企業の業種、状況などから予想されるリスクの種類の大きさから、その企業ごとにカスタマイズした顧問弁護士の使い方や顧問契約をご提案させていただきます。

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