顧問弁護士

顧問弁護士活用法 第4回~企業法務に対する誤解③~

1 はじめに

前回までは、企業法務の中でも裁判に関する誤解について解説いたしました。

今回は、弁護士に対する誤解について解説いたします。我々のような弁護士をどのタイミングから使うのか、今後の企業法務について、非常に重要な点ですので、顧問弁護士をつけようと考えられている経営者や、現在顧問弁護士と契約している経営者の方は、ぜひ一読していただいて、弁護士が考えている「弁護士を使うタイミング」について、知っていただければと思います。

 

2 企業法務に対する誤解③~弁護士は問題が発生してから使うものだと思っている~

依頼した企業が売掛金の回収ができない場合、取引相手が契約内容を遵守しない場合、取引先が倒産することになりそうな場合に、弁護士を代理人として問題に対応するというのはごく自然な対応です。

しかし、企業法務の場合には、問題が発生してようやく弁護士を利用し始めるというのでは、既に手遅れでクライアントの意向を十分に満たすことが難しいというのが現実です。相談された際の弁護士側の意見としては、「もっと早く相談してくれたら、他に対応策を考えられるのにもう打てる手がほとんどない」と思うことも少なくありません。

このとき、「もう少し早く相談しようと思ったりはしませんでしたか?」とお聞きすると、必ず、「弁護士さんって、問題が発生してからお願いするものだと思っていました。」という答えが返ってきます。

弁護士の真の価値は、企業経営において問題が発生させないように経営者に助言できることにあります。私たち弁護士の活動が至らず、この認識がいまだに浸透していませんが、この記事を読んだ経営者の方は、今後の経営において、以下に書くように一秒でも早く弁護士に相談するという認識を持っていただきたいと思います。

 

(1)弁護士を企業調査に利用する

債権回収ができない主な理由のひとつに、取引前に相手の会社を十分に調査していないということがあげられます。それまでの信頼等からまさかこの会社がつぶれるとは思わなかったというのは本当によく聞く話です。しかし、現在、いつどのタイミングでどの会社が急に経営が悪化するかはわかりません。自社の債権を確保するためには、取引前に十分な調査が必要です。

弁護士は、企業の登記情報を取得し、読み解くことに長けています。適法に取得できる情報から相手の財務状況を予測して、交渉・取引に臨むというのは経営には必須の感覚のではないでしょうか。

 

(2)弁護士を契約交渉に利用する

企業法務で最も多い問題点としてあげられるのは、取引においてそもそも契約書を作成していなかったという場合か、契約書が作成されていても内容に不備があったという場合です。

契約書がなければ、当事者間でどのような取り決めがあったのかわかりません。また、契約書の内容に不備があれば、自身の請求ができなくとも文句は言えません。

取引段階から交渉役を弁護士に依頼すれば、少なくとも法律的な面での不備が生じることはありませんし、仮に弁護士に交渉役を頼まなくとも、どういう契約にするべきか、どういう契約書を作成するべきかというアドバイスをもらっておけば、債権回収が全くできないというリスクは著しく減少します。

 

(3)弁護士を担保設定の相談や手続きに利用する

「取引先が倒産しそうです。取引先にはまだ手持ちのお金は残ってると聞いていますし、資産があるはずです。何とか回収できませんか」というような相談はよくあります。

当然、ご依頼をいただければ、弁護士も全身全霊で回収交渉等を行い、1円でも多くの債権を回収できるように努力いたします。

しかし、倒産寸前の状態になってから債権回収を始めても時既に遅しという場合が非常に多いです。倒産寸前ともなれば、既に他の債権者も債権回収に動き出していますし、倒産するとして、会社が弁護士に破産手続きの依頼をすると、債権者による債権回収はできなくなります。

そして、破産手続きが開始されれば、債権者が受けられる配当はほとんどゼロに近いものとなります。

このような結果を避けるためには、取引に入る前や取引段階から弁護士に相談して、相手方の財務状況に不安な点があれば、いざという時に備えて相手方から担保を取れるように準備することが重要です。担保さえとっていれば、万が一破産手続きが開始されても、確実に債権を回収することができます。

しかし、担保権の設定は複雑で、経験と知識がなければ難しいでしょう。そのため、取引相手の信用不安が現実化する事態に備え、事前に弁護士に相談して適切な担保の設定をしておくことが重要です。

 

前述しましたが、弁護士の価値は、企業経営において問題が発生しないように経営者を手助けすることができることにあります。取引に入る前段階で問題が発生する場合を想定し、先手を取って対策しておくことが重要です。

 

3 最後に

この記事を読まれて、「うちの会社はどうなのだろうか」「顧問弁護士の使い方について話を聞きたい」等がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。

企業の業種、状況などから予想されるリスクの種類の大きさのみならず、企業の理念、経営者の考え方などから、その企業ごとにカスタマイズした顧問弁護士の使い方や顧問契約をご提案させていただきます。

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