顧問弁護士

顧問弁護士活用法 第5回~企業法務に対する誤解④~

1 はじめに

前回は弁護士を使うタイミングについて解説しました。特に、問題が起こってから弁護士を使うのでは遅いということについては、皆様もなんとなくイメージをもっていただけたかと思います。

今回も、前回に引き続き、弁護士に対する誤解について解説いたします。

顧問弁護士をつけて難しいことは全て弁護士任せという経営者の方もいらっしゃるかと思います。

しかし、顧問料の範囲で弁護士にやってもらえる業務は思いのほかわかりにくく、気づいたら弁護士費用がかさんでいることも少なくないと思います。

また、顧問弁護士がついているにもかかわらず、企業が違法な状態になっているということも少なくありません。これらは、全て弁護士に丸投げしている弊害でもあります。

今回は、経営者自身でも法律に意識を向けるということについてお話します。

 

2 企業法務に対する誤解④~法律は難しいから弁護士に全部任せてしまえばよいと思っている~

法律問題が発生すると、何も考えず、「法律は難解だから、弁護士に任せている」ということになりがちです。

確かに、世の中には膨大な数の法律があり、弁護士でも聞いたことのないような法律もあります。

しかし、企業経営の中で、通常必要とされる法律知識というのは、多くありませんし、一般の方でも十分に理解することが可能です。また、法律について、全て弁護士に丸投げしていると、自ら法律について触れる機会がなく、法務を意識した企業経営には中々至りません。

そこで、自社でできることは自社で行って、問題を把握し、反省点があればその後の経営にフィードバックさせていくことが重要なのです。

例えば、昔は、内容証明郵便1通を出すのも字数制限等があって、自力で行うことは大変でしたが、現在はインターネットで検索すればひな形がいくらでも出てきますし、郵便局にすら行かずに出すことが可能です。あらかじめ、弁護士と相談してフォーマットさえ決めていれば、従業員が業務の一環として出すことも可能です。

支払督促手続もインターネットで簡単に申立てを行うことが可能となっています。申立書を自力で作成した上、弁護士にはその内容が正しいかどうかだけを確認してもらえば余計な費用もかかりません。

このように、内容的に複雑でなく手続的に簡単な手続きは、弁護士に依頼するよりも自社内で行うという方針を立て、内容や手続きに誤りがないかを顧問弁護士に確認してもらいながら進めていくという姿勢がベストです。そのようなシステム、姿勢をとることで弁護士費用を低減させて法務コストを削減しつつ、自社の問題点を法務担当者が的確に把握して経営者に報告し、改善を図っていくことにつながり、足腰の強い経営体質を創出することができるようになります。

もちろん、経営資源の問題で、これらの手続きを全て自社で行うことは難しいかもしれませんし、そこまで手が回らないという経営者の方もいると思います。しかし、法令遵守を強く求められる現代では、強い企業経営を行うために、ある程度は自社で法律を扱えるようになり、自主的に法令遵守を全うできる体制を作るということも必要になります。

 

3 最後に

この記事を読まれて、「うちの会社はどうなのだろうか」「顧問弁護士の使い方について話を聞きたい」等がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。

企業の業種、状況などから予想されるリスクの種類の大きさのみならず、企業の理念、経営者の考え方などから、その企業ごとにカスタマイズした顧問弁護士の使い方や顧問契約をご提案させていただきます。

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