1 はじめに
前回までの顧問弁護士活用法では、企業法務にまつわる誤解についてご説明しました。その中で、弁護士に相談するタイミングは、問題が生じる前からと強く強く説明しました。
しかし、そうだといっても、問題が生じそうになってからや、実際に問題が生じてみないと弁護士に相談するのはなかなか難しいものです。
そこで、今回からは問題が生じそうな場合、生じた場合の対応や、どのような場合がまさに相談すべきタイミングなのかを弁護士目線から説明します。
2 トラブル対応のきほんのき
企業経営は人間が行うことですので、トラブルの発生をゼロにするということは不可能です。できるのは、トラブルの発生確率を下げたり、発生する件数を減らしてゼロに近づけることが関の山です。そのため、トラブルの発生を未然に防ぐというだけでは、トラブル対応としては不十分なことは言うまでもないでしょう。トラブルが必ず起こることを前提に、トラブルが発生したとき、いかに被害を最小限に食い止めるか、その対応策は何かを事前に決めておく必要があります。
どのような事象にも発生する前に兆候が見られます。雨であれば雨雲が空を覆い、津波であれば海で地震が起こるといった兆候が見られます。経営においても、取引先の金払いが悪くなる、人が急に辞め出すといったことがあれば倒産の危機です。
このようなトラブル前の兆候をいかに素早く見つけられるか、見つけたらいかに素早く行動に移せるかがトラブル対応の基本中の基本です。早く見つけ、早く動いた者からトラブルから抜け出すことができるのです。
そして、取引先の危険な兆候を察知するためには経営者だけが注意していても不十分です。実際に、取引のために動いている現場の営業担当にも危険を察知してもらう必要があります。経営者としては、現場の営業担当に対し、危険な兆候を伝え、「こういう兆候を見逃さず、察知した場合には上司に報告すること」と指導し徹底することが極めて重要です。
次回以降では、弊所の経験も踏まえ、どのような状態にある企業がどのような兆候をみせるのかをご紹介します。
3 さいごに
実際のところ、経営者がひとりでこれらのことを全てカバーすることは不可能です。そのため、弁護士やそのほかのコンサルといったパートナーが必要になります。
この記事を読まれて、「うちの会社はどうなのだろうか」「顧問弁護士の使い方について話を聞きたい」等がございましたら、一度、弊所までご相談にいらしてください。
企業の業種、状況などから予想されるリスクの種類の大きさのみならず、企業の理念、経営者の考え方などから、その企業ごとにカスタマイズした顧問弁護士の使い方や顧問契約をご提案させていただきます。